サンジはとりあえず様子を見ることにした。

「おれもこれから行こうと思ったトコだ」
「そっか〜。せっかくだから一緒に行く? 買い出しあるなら手伝うぞ」

ニカッと笑ってルフィはサンジを見上げた。
願ってもない言葉にサンジは内心、動揺してしまうが笑顔でルフィを見つめた。

「…いや、今のところ買い出しする予定はない。散歩でもするか」
「そうだな〜。ヒマだし、ウロウロするか〜」

グーッと背伸びしてからルフィは船を降りた。サンジも後に続く。



***



「結構、賑わってるな」
「そうだな!美味そうなモンがいっぱいあるな」
「お前は食い気ばっかりだな」

夕方も近いせいか市場は賑わいを見せていた。
ルフィは楽しそうにキョロキョロと辺りを見る。
サンジは呆れながらもそんなルフィを可愛いと思った。

「今日の晩メシなに?」

美味しそうな匂いにお腹を空かせたのかルフィはサンジを見上げた。

「明日、新しい食材を買いたいから倉庫と冷蔵庫の余り物を全部使う。だから適当にいろいろ作るつもりだ。なんかリクエストあるか?」
「肉が食いたい!」

予想通りな返答にサンジは笑った。

「聞くまでもなかったな」
「なんだよ〜好きなんだから仕方ないだろ」

ルフィの拗ねたような物言いに再び笑う。

「了解。肉料理も作るがバランス良く食えよ」
「はーい」

元気よく手を挙げてルフィは応えた。

「はァ、好きなんだから仕方ない…か。確かに、その通りだな」
「ん?」

ため息混じりに呟いたセリフが聞こえたのかルフィは首をかしげてサンジを見た。

「いや、なんでもねェ」
「そうか? なんでもないならいいけどさ」

少しだけ心配そうにルフィはサンジを見上げた。

「大丈夫だって。サンキュ」
「うん、えへへ」

ルフィのことで悩んでいるとは言えないが、好きな相手に心配されて悪い気はしない。サンジは嬉しそうに笑った。
そして、麦わら帽子越しに頭を撫でる。

「ん? 道、二手に分かれてるな」
「あ、本当だ。どっちの通りがおもしろいかな」
「さァな〜。どっちも同じじゃねェか? 好きな方を選べよ」

分かれ道の入口手前で二人は立ち止まった。
どちらの道も人で賑わっている。

「う〜ん、サンジはどっちの行きたい?」

自分では決められなかったのかルフィはサンジに聞いてきた。











右の道

左の道