「こっちでいいんじゃないか?」
サンジは適当に左側にある通りを指差した。
「うん、行こう」
少し歩くとチョッパーが本屋の前をうろついているのが見えた。
「チョッパー!」
「あ、ルフィ!」
ルフィは嬉しそうにチョッパーに駆け寄る。
チョッパーも笑顔でルフィを見た。
「何してんだ?」
「医学書を見ようかと思って。地方によって独特の治療法があったりするからさ」
ニコニコしている二人にサンジは近寄る。
「勉強熱心だな」
「みんな、ケガが多いからな。より早く治る方法を探してんだ。サンジ達は何してんだ?」
チョッパーは二人を見上げて尋ねた。
「散歩だよな!散歩〜」
「今日は買い出しないからな」
「そっか〜」
三人の間にほのぼのとした空気が流れる。
「あ、チョッパーも一緒に行くか?」
「う…ん」
元気良く頷こうとしたチョッパーは笑顔で固まった。
サンジの顔を見てしまったからだ。
普段にないぐらいの怖い表情にチョッパーは動揺を隠せない。
「ん? どうした?」
「い、いや、おれ! まだ、本見るから、さ!」
ルフィの斜め後ろにいるのでルフィ自身にはサンジの表情は見えていない。
チョッパーはブンブンと首を振りながら後退りする。
「そうか〜」
「じゃあな!」
「お、おう」
チョッパーは本屋の中に走って行ってしまった。
ルフィは首をかしげて、サンジを見た。
「なんか、さっきのチョッパー、変じゃなかっか?」
「そうか? まだ見てない本でも思い出したんじゃないか?」
「そうかな〜。ま、見たい本があるなら仕方ないか」
先ほどチョッパーを見ていた表情とは打って変わった優しい表情でサンジはルフィを見た。
ルフィもまさかサンジがチョッパーを追い払ったとは気づかず、ニッコリと笑っている。
チョッパーには悪いが今回は強制的に排除させてもらった。
いつもならチョッパーと一緒に散歩するのも嫌ではないのだが告白をしようとしている手前、一緒にいられると邪魔だったのだ。
「……嫉妬してないと言えば嘘になるか」
普段からルフィと仲良くしているチョッパーに嫉妬心がないとは言えないサンジだった。
「また道、一本に戻ったみたいだな」
「繋がってたんだな。どっちの道を行っても似たような…もんだったか」
サンジは先ほどの出来事を思い出し、微妙な顔をする。
「どうした?」
「いや、別に。それより行こう」
「おう! この町、広いな〜結構歩いたつもりだけどまだ先がありそう」
出店を冷やかしつつ、二人はのんびりと散歩を続けた。
「お、また分かれ道だ」
「また繋がるんじゃねェか?」
再び、分かれ道に辿り着き、二人は立ち止まった。
「そうだろうな〜。さっきはサンジが道、選んだから今度はおれが決めよっと。う〜ん、こっち!」
ルフィは右の道を指差した。
「そんじゃ行ってみますか」
「うん!」
少し歩くと急に人影が少なくなった。
とりあえず進んでみるがそのうち、人影はサンジとルフィしか見当たらなくなった。
「あれ? 店もなくなっちゃったな」
「おっと…行き止まりだな。抜け道もなさそうだ」
遠くの喧騒が聞こえるだけで近くには何もないようだ。
どうする?
・ここで告白する
・引き返す