「こっちでいいんじゃないか?」
サンジは適当に右側にある通りを指差した。
「よし! 行こう」
ルフィも異存はないのかズンズンと進み始めた。
するとすぐに立ち止まった。
「どうした?」
「ゾロがいる」
「………引き返すか」
ルフィの手を掴み、引き返そうとするとゾロがこちらに気づいた。
「うわっ、めちゃくちゃ睨んでるぞ?怒ってんのかな」
主にサンジを睨んでるのだがルフィは気がつかない。
「ホントだな。機嫌悪いみたいだから近寄らない方がいいと思うぜ」
「そうかな。わっ、サンジ、引っ張るなって! わ、わわ」
「ちょっと待て」
サンジはルフィを引っ張って行こうとしたが、すぐ、ゾロに止められた。
渋々とサンジは立ち止まった。
「何か用?」
「とりあえず、ルフィの手を放せ」
「…ハイハイ」
サンジは掴んでいた手を名残惜しそうに放した。
「ゾロは買い出しか?」
「まァな。お前らは?」
ルフィとサンジが二人きりで行動しているのが気に入らないのだろう。
ゾロは仏頂面で尋ねた。
「お前には関係ねェ」
「なんだと?」
サンジの返答にゾロは顔を引きつらせた。
「散歩! そこらをウロウロしてんだ」
「そうか」
ニカッと笑うルフィを見てゾロの機嫌が直る。
すると今度はサンジの機嫌が悪くなった。
無言になったサンジにルフィは焦る。
「えと…まだ散歩の途中だから〜またな、ゾロ」
「……あァまた後でな」
二人きりにするのは嫌だったが自分から一緒に行くというのは気が引けた。
ゾロはサンジを睨む。
サンジはその様子を鼻で笑い、ゾロの横を通り過ぎた。
「い、行こう、サンジ」
「あァ」
少し早足でゾロから離れる。
歩いている間もルフィはゾロの視線を感じていた。
しばらく歩いてからルフィはサンジをちらりと見た。
「サンジとゾロって仲悪いんだか仲良いんだかよくわかんねェ」
「仲悪いぜ? まァ気にするな」
「気にするよ〜。町で暴れたら長居できなくなるだろ。町の中でケンカしそうだったら引き離せってナミにも言われてんだぞ」
ルフィは口を尖らせて、サンジを睨んだ。
「なるほどね。ナミさんに言われたからか。二人っきりに早くなりたいからだったらよかったなァ」
「あはは、何言ってんだ?変なサンジだ」
冗談を言われたのかと思って、ルフィはおかしそうに笑った。
「ま、結果オーライ…かな」
ゾロも一緒に行こう、などとルフィが言い出さなかっただけマシかとサンジは気を取り直すことにした。
「また道、一本に戻ったみたいだな」
「繋がってたんだな。どっちの道を行っても似たような…もんだったか」
サンジは先ほどの出来事を思い出し、微妙な顔をする。
「どうした?」
「いや、別に。それより行こう」
「おう!この町、広いな〜結構歩いたつもりだけどまだ先がありそう」
出店を冷やかしつつ、二人はのんびりと散歩を続けた。
「お、また分かれ道だ」
「また繋がるんじゃねェか?」
再び、分かれ道に辿り着き、二人は立ち止まった。
「そうだろうな〜。さっきはサンジが道、選んだから今度はおれが決めよっと。う〜ん、こっち!」
ルフィは右の道を指差した。
「そんじゃ行ってみますか」
「うん!」
少し歩くと急に人影が少なくなった。
とりあえず進んでみるがそのうち、人影はサンジとルフィしか見当たらなくなった。
「あれ?店もなくなっちゃったな」
「おっと…行き止まりだな。抜け道もなさそうだ」
遠くの喧騒が聞こえるだけで近くには何もないようだ。
どうする?
・ここで告白する
・引き返す