「ルフィ……何してるんだ?」
ゴロゴロと甲板を寝転がるルフィをサンジが呆れながら呼んだ。
「ん〜チョッパーにもウソップにも用事あるって言われたんだ〜だから、何しようかなって思って」
「あァ、そう」
ルフィがあの二人に対する態度は仲間にするものだとわかってはいるが、やはり他の男と楽しそうにしているのは気に入らない。
しかも、サンジはチョッパーの淡い恋心に気づいている。
「そりゃ二人にも用事ぐらいあるだろ?」
「まァな〜仕方ねェけどさ〜」
ルフィはつまらなそうに仰向けに寝転がったままサンジを見上げる。
今は自分だけしか見ていないと思うとサンジは内心、安堵している。
そんな自分を押し隠し、なんでもないようにサンジは笑う。
ポケットに手を突っ込むと指先に固い物が当たった。
「ゲームでもするか」
思いついた顔でサンジはルフィを見た。
「ゲーム! 遊びか? 何するんだ? 難しいのはダメだぞ」
ルフィは笑顔で元気よくガバッと起き上がり、サンジに駆け寄った。
「ゲームっていうか賭けかな? 簡単簡単」
近寄ってきたルフィに手のひらの中にあるものを見せる。
「金ェ? 何するんだ? ナミも呼ぶか?」
「金を見てからナミさんを思い出すなよ……違う、これはこうするんだ」
親指で真上に弾き、手の甲に落ちてきたコインを逆の手で隠す。
「表か裏か当てるゲームだ。でもアタリかハズレかだけじゃつまんねェよな?」
「ん? うん、そうだな! 罰ゲームだな! 何がいいかな?」
うんうんと頷いてからルフィは首をかしげた。
「あ〜じゃあ、お前が表か裏か当てたらおれがなんでもルフィの言うことを聞く。外したらお前がなんでもおれの言うことを聞く、でいいんじゃね?」
「えっ? え〜……ズルしてないよな?」
日頃の行いのせいか、少し用心深くルフィはサンジを見上げた。
「イカサマする暇なんてなかっただろうが…しかも選択権はお前にある。安心安全だろ?」
「間違ったら…なんでも言うことを聞くかァ…でもアタリを答えればいいんだもんな」
「確率的には二分の一だぜ。さァどうする?」
うーん、としばらく悩んだ後にルフィはサンジを挑戦的に見上げた。
「その勝負…乗った!」
「そうじゃなくっちゃなァ〜さて、どっちにする?」
見えるわけないのだがルフィはサンジの手を真剣に見つめた。
自分が罰ゲームをするのは是が非でも回避したいところだ。
散々、悩んだ後にルフィは答えを出した。
・「表だ!」
・「裏だ!」