昼下がり、甲板で転がってのんびりとするルフィにサンジはゆっくりと近づいた。












「ルフィ、おれは欲求不満なんだ」

「ふえ? よっきょーふまんってなんだ?」

サンジの突然の物言いにルフィは不思議そうな顔をした。

「助けてくれ」
「えっ! 助けなきゃいけないことなのか!?」

驚きのあまりルフィは立ち上がる。

「そうなんだ。一人でもできないことはない…が、しかしおれはお前に手伝って欲しい」
「お、おう。どうしたらいいんだ?」


じっと見上げるルフィにサンジは限界がきた。

「ヤらせろ」
「直球過ぎるわよ、サンジ君!」


ドカーン!!!


突然現れたナミにサンジは豪快に殴られ壁に激突し、動かなくなった。

「ナミ、どうしたんだ?サンジ、動かなくなっちまったぞ?」

よくあることなのでルフィもあまり焦らない。

「あれはいいのよ。頭を冷やさなきゃダメだから」

ナミは冷めた目でサンジを見た。

「そうなのか? でもおれ、サンジを手伝わなきゃダメなんだ」
「あんたね…意味分かってないかもしれないけど昼間から手伝う必要ないの!」
「そういうもんか?」
「はァ…サカられても困るのよ…」
「さかる? サンジもナミも何言ってんのかよくわかんねェ」
「無理に知る必要のない事よ。あんたは今のままでいいわ」


サンジと付き合っているのによく今もキレイな心のままでいるものだとナミは感心した。

「じゃあサンジはほっとけばいいのか?」
「うーん。こんな昼間にこんな場所で…そうね、お仕置きが…いるわね。耳貸しなさい」
「おう。え? うん…うん? …うん。それでお仕置きになるのか?」
「なるわよ。相当キツイでしょうね」
「よくわかんねェけど頑張るな!」

ルフィは太陽みたいな笑顔で残酷な事(サンジにとって)を言った。

目を覚ましたサンジの前にしゃがんだルフィがいた。

「大丈夫か、サンジ?」
「これはナミさんの愛の鉄拳だからな。おれは平気だ」
「そっか、安心したぞ」

にっこり笑うルフィにサンジは癒された。

「あっ、さっきの事なんだがな」

ナミに邪魔される前の行為を続けようとサンジは座り直し、ルフィを見つめた。

「サンジ」
「ん…ルフィ?」

チュッと可愛らしい音をたててルフィからサンジに口づけをした。

「ししし、これすんのって恥ずかしいな」

赤い顔で恥ずかしそうに笑うルフィにサンジはまたもや限界に達した。
抱きしめようとした瞬間にルフィは思い出したと口を開いた。

「ナミから伝言だ。次の島まで、船でおれに手を出すの禁止。反省しなさいだってさ」
「なっ!」
「でも、おれからはベタベタしていいんだってさ。むしろ、しなさいって言われた」
「うっ…」
「だからおれはサンジにベタベタするぞ!」

ぎゅーっとルフィに抱きつかれサンジは嬉しいやら悲しいやらで涙を流した。

「よくわかんねェけどナミは恐ェから逆らわない方がいいぞ?」
「……生き地獄、決定」




***




「ひどいことするのね、航海士さん?」
「ロビン…だってルフィを独り占めにしようとするからお仕置き。当然の仕打ちでしょ?」
「フフッ、それもそうね」

ナミとロビンはぐったりするサンジと嬉しそうなルフィを見て、にっこりと笑い合った。






















*END*