「それでは同点を祝しまして〜乾杯!」

ローの合図で打ち上げに来られたメンバーはそれぞれのグラスを頭上に持ち上げた。

「貸し切りじゃねェんだから、あんまりギャーギャー騒ぐなよ〜」

シャンクスは一応の注意をしてから自分の食べるものを選び始める。
シャンクス、エース、ナミ、ゾロ、キッドが同じテーブルだ。

「ルフィ先輩、また延長戦しましょうね!」
「気が向いたらな〜。途中からギャラリー増えすぎだろ」
「仕方ねェよ。サンジいたし、ローも地味に人気だし」

ウソップは横目にローを見つつ、ルフィに話す。
ルフィの横にサンジ、正面にウソップとその横にロー、スモーカーという並びだ。

「地味て…まァサンジ先輩には負けますね。ホームランは悔しかったっすねー。勉強もできてスポーツも万能って病気なんじゃないですか?」
「…失礼な男だな」

サンジは少し不機嫌そうに呟く。

「その分、常識がないだろ」
「あー…確かに」
「こいつは勧誘しても無駄だと思ったからなァ。教師の勘だ」
「なんかわかりますよ〜独特の雰囲気持ってますもんね」

三人が好き勝手に話し始めたのでルフィは適当に注文した料理を食べる。

「ナミさん、強かったな」
「強いってお前…まァ、おれが小さい頃はナミ相手にキャッチボールしたりしてたからな〜そこらの女子よりはボール投げる力はあるよ」

サンジの口ぶりに笑いながらルフィは今日の試合を思い出した。

「あはは、ナミのスイングの音、結構響いてたよな」
「あれは当たれば、かなり飛んだと思う」
「さりげなくみんな活躍してたよな〜ゾロ先輩は竹刀で、かっ飛ばしてたし」
「割り箸で打つのは難しかったな。でも、かすったから3点! とかわけのわからない点数入ったし」
「最終的に98対98だもんな。点数入りすぎ」
「でも、楽しかったでしょ〜?」

二人の話にローは笑顔で参加してきた。

「まァな。こういうバカ騒ぎって好きな方だし面白かったよ」
「え? じゃあデートはしてもらえるんですか?」
「却下。じゃあの意味がわからん」
「ちぇ〜」

拗ねるローに呆れているとソファーに置いたルフィの左手に誰かの手が重ねられる。
思わずサンジを見るとイタズラっ子のように笑っていた。

「な、なに?」
「ご褒美、これがいい」
「っ…」

サンジにぎゅっと手を握られて動揺する。

「どうした、ルフィ?」

急にしどろもどろになったルフィをウソップは不思議そうに見てきた。

「え? あ、あの…」
「内緒」
「…なんでサンジ先輩が応えるんスか」

真っ赤になるルフィを訝しげにローは見る。
ルフィは慌てて顔を逸らした。

「なーんだよ、お前らワケありか?」
「ルフィにも色々あるんですよ。ロー、お前はとりあえず食え。ほらほら、スモーカー先生も」

不審がる二人を無理矢理食事に引き付けてくれるウソップのフォローに心の中で感謝する。

(というか、恥ずかしすぎる! 嬉しそうにしやがって! …うぅ、今さら放せとも言えない)

流されていると思いつつ、最近強く言えなくなってきている自分自身にどうしていいか戸惑う。

結局、解散するまでルフィはサンジの手を振りほどくことはなかったようだ。


































*END*