「おい、ルフィ…冷蔵庫の中味が減ってるんだが誰が取ったか知らねェか?」
「し、知らねェ〜」

思いっきりサンジから目を逸らしルフィは片手を振って知らないとジェスチャーをした。

「へェ? じゃあこの口のまわりの食べかすはなんだよ?」

ペロリとサンジはルフィの口の横を舐める。

「わっ! びっくりするだろ! …バレバレだったか」

ししし、と悪びれた様子もなくルフィは笑った。

「あのなぁ…なんか食いたいならおれに言えよ。作ってやるから」

そんなルフィに怒る気も削がれサンジは呆れたように船長を見た。

「おう! でも盗み食いもするぞ」
「はっきり宣言するな、クソゴム」

ため息を吐きながらサンジは後ろからルフィを抱きしめる。
サンジの腕をぎゅっと掴んでルフィは振り返った。

「だってそうしたらサンジ、おれのトコに来てくれるじゃねェか」

満面の笑みで言われサンジはルフィを抱きしめたまま硬直する。

「犯人はウソップとかチョッパーとかかもしんねェのにサンジは一番におれのトコに来てくれるだろ?」
「…まァな。お前が一番怪しいし」
「こういうのなんて言うんだっけ? あっ、ゆうえつかんだ」
「優越感ね…ホント、船長はおれを喜ばせるのがうまいな」
「冷蔵庫の中味が消えてたらおれが犯人だからな! 他の奴のトコに行ったら怒るぞ」
「バーカ」
「む、嫌なもんは嫌なんだ。これだけはおれのとっけんだ」
「特権…お前、優越感も特権も意味わかってなさそうだよな」

くるりと向きを変え、ルフィはサンジに抱きついた。

「おれの船長さん、盗み食いした犯人は捕まえた後どうしたらいいんですか?」
「えっ! 怒るのか…?」

擦り寄っていた顔を恐る恐る上げる。

「そりゃあ無罪放免とはいかねェだろ?」
「えー…」

逃げようとするルフィをサンジはぎゅっと抱きしめる。

「逃がさないぜ、ルフィ?」
「説教はイヤだ!」
「説教なんてしねェよ。おれの飢えを満たしてくれたらそれでいい」
「おれ、料理できねェぞ?」

困ったように上目遣いでサンジを見上げる。

「お前は何もしなくていい。おれがお前にいろいろするから」
「え? うわ……んぅ」

突然の激しい口づけにルフィは頭の中が真っ白になった。
いつもの軽く優しい口づけと違い、激しく貪るような口づけ。
背筋がゾクゾクとする感覚にルフィはサンジの袖をぎゅっと掴む。

「ふ……う……っ」

胸を叩かれてもやめることなくサンジはルフィの口内を好きなように弄ぶ。
逃げようにも頭を捕まれていて逃げることができない。
酸欠で倒れそうになった頃、サンジはやっとルフィを離した。

「おっと、腰砕けだな」
「…はァ、はァ」

倒れかけたルフィをサンジ片手で軽々受けとめた。

「エロい顔するなよ…止まらなくなるだろ」
「し、してないっ」

呼吸を整えているルフィの顔を困ったようにサンジは見ていた。
紅潮した頬、潤んだ瞳、互いの唾液で濡れた唇。

「あー…ヤバイな…」
「んっ」

今度は軽く口づける。

「サンジは…エロコックだな…」
「このぐらいでエロ呼ばわりか…おれはもっとエロいことお前にしたいんだけど?」

耳元で囁かれ、ルフィは顔を真っ赤にした。
そんなルフィを見ながらサンジはルフィの尻に手を伸ばす。

「…エロエロコックだ」
「はいはい。はァ…とりあえず新しい島に着くまで我慢するか…痛っ」

真っ赤になったルフィに思いきり足を踏まれたが、サンジの尻を触る手は止まらなかった。

「この手はどうやったら止まるんだ! むー」
「ははは、止まらない止まらない」

サンジに片手でやわやわと尻を揉まれても、片手でがっちり腰を掴まれているのでルフィが暴れても逃げられない。

「ルフィ、愛してる」
「っ!…サンジはずるいな」

突然の言葉にルフィは驚き、暴れるのを止めてサンジに抱きつく。

「おれだってサンジが大好きだ」

そんなルフィを愛しそうに見つめ、サンジは誓いのようにルフィの髪にキスをした。





数日後





「おれじゃねェって! ウソップだろ!」
「冷蔵庫の中味が消えたら犯人は全部お前だって思えって言ってたじゃねェか」

ジリジリと壁ぎわに追い詰められてルフィは慌てる。

「い、言ったけど…あんなことされてからは盗んでねェもん」
「聞こえないな。はは、もっと盗めよ? お前が言う『あんなこと』をじっくりたっぷりしてやるからな」

無実の罪で捕まったルフィはニヤニヤと笑うサンジにがっちり抱き込まれ逃げることはできない。
エロコックという言葉を発する間もなくルフィはサンジに口を塞がれたのだった。



















*END*