「…サンジ?」

アゴを掴まれ、ルフィは不思議そうな顔をしたがサンジに理性はもう残っていなかった。

「っ…! …む……ぅ」

驚いたルフィはサンジをドンッと押し退けた。
その拍子にサンジは正気に戻る。

「ル、ルフィ?」

サンジが声を掛けると赤い顔でジリジリと後ろへ下がり、壁にぶつかる。
ぶつかった勢いで麦わら帽子が地面に落ちた。
ルフィは急いでそれを拾い、麦わら帽子で自分の顔を半分、隠す。

「な、な、な、なに?」
「わ、悪ィ……つい、その…ルフィ?」

理性を取り戻したサンジもかなり焦っているがそれ以上にルフィが動揺している。
サンジが近寄ろうとするとルフィの肩がビクッと震えた。

「よ、寄るな!」
「落ち着け。無理だと思うが落ち着け。とりあえず顔を見せろよ」

自分より動揺している人間を見ると冷静になれるもので、サンジは焦るルフィを落ち着かせようとゆっくり近づく。

「お、お前、泣いて…んのか?」

ルフィは麦わら帽子を頭に被り、サンジを睨んだ。
涙こそ流してはいないが、その表情は泣きそうに歪んでいた。
サンジはその顔に今まで経験したことがないほどの動揺をしてしまう。

「うー……サンジのバカー!!」
「っ!?」

セリフと同時にサンジを殴り、ルフィは走り去ってしまった。

「いってェ…」

かなり強めに左頬を殴られ、サンジは顔を擦る。
自業自得なのだが痛いものは痛い。

「はァ……失敗した」

壁にもたれ、海よりも深く反省する。
後悔先に立たずとはよく言ったものだ。

その後、サンジにはルフィに避けられまくる生活が待っているのだった。














*END*



ウソップのアドバイス

…おれを巻き込まないでくれ。
というか手、出すの早すぎだろ…余裕ないのは分かるけどなァ。
あそこは理性で、ぐっと耐えるのをオススメする。
そういや、ゾロは右の道で見かけたぜ?って今さらだよな。