コンビニにでも行こうかと一人歩いていると
前から歩いてきた男性に綱吉は話しかけられた。
「ちょっといい? 道に迷ってるんだ」
「はい、どこに行きたいんですか?」
誰かに道を聞こうにも人通りの少ない道なので、困っていたのだろう。
綱吉が快く了承すると、男は笑顔で話し始める。
「並盛中学校。どこにあるのかな?」
少しだけ、背筋がゾクリとした気がした。
風邪でも引いたのかと思いつつ、綱吉は懐かしい単語に頬が自然と緩む。
「並盛中学校はこっちじゃなくて…もう一本向こうの通りを行くとありますよ」
「そっか〜道を間違えてたのか。君さ、並盛中学校に通ってたの?」
「え?」
「懐かしそうな顔してたから」
にこにこと笑顔の男に綱吉も笑いながら、頷いた。
「あ、はい。そうなんです。だから、懐かしくて」
「そうだったんだ。よかったら案内してくれない?」
「はい、いいですよ。こっちです」
また迷っても大変かと思い、綱吉は男の提案に笑顔で頷く。
歩き出して、綱吉はすぐに立ち止まった。
「どうかしたんですか?」
振り返ると男は笑顔で立ち尽くしている。
ついて来ないのを不思議に思い、綱吉は男の元へと戻る。
男は少しだけ悩むような仕草をしてから、綱吉を真っ直ぐに見つめた。
「この世界では君と友達になってみようかなって思ってたんだけどさ」
「は、はぁ」
思ってもみない男の言葉に、綱吉は気の抜けるような返事をしてしまう。
「でも、僕って綱吉クンのこと大嫌いじゃない?」
「っ!?」
名前を知られていたことにも、明らかなる嫌悪を向けられたことにも目の前の笑顔のまま男の存在に不自然なほどの恐怖を覚えた。
「超直感って案外役に立ってないんだね。危険人物に話しかけられて立ち止まるんだもん。まだまだ成長段階ってことかな?」
「なに…言ってるんですか?」
「んー、違うんだよ」
綱吉の怯えた目を見て男は左右に首を振る。
「怖がって欲しいわけじゃないんだ。強いて言うなら君に怨まれたい」
「え?」
「だって、僕だけが君を嫌ってるなんてずるいだろ?」
「…嫌いならオレのこと、かまわなければいいじゃないですか」
かすれそうになる声音で何とか音を紡いだ。
誰かにこれほどの強い負の感情を向けられたことはなかった。
怖くても震えているだけでは、この場から逃げられない。
なんとか隙を突きたくて、綱吉は謎の男を見つめた。
「だから、それだと不公平でしょ? 僕だけが君を想って
君は僕を知らないなんて、それこそ虫唾が走るって話だよ」
にこにこと愛想良く笑っているように見える相手に不思議と隙は見当たらない。
それに、綱吉は気がついてしまった、男の目は少しも笑っていないことに。
そのことに綱吉は瞠目する。その様子に男は笑った。
「オレはあなたのこと、知りません」
「うん。これから知ってくれたらいいよ。オトモダチになろうよ」
「……嫌です」
「よかった。ここまで言って友達になられたら君の脳内を切り裂いてでも見てみたくなるよ」
物騒なことを言う男から後退りするが、その分近づいてくるので距離は変わらない。
「僕が君に向けて欲しいのは友情じゃなくて純粋な憎悪だよ。それを僕に向けて欲しい。僕だけに、ね」
「っ! 放せ…」
危ない、と思ったときにはもう距離を詰められ、肩を強く掴まれていた。
痛みに顔を歪めると、男に嬉しそうに笑われ、綱吉は男を睨んだ。
「足りないよ、そんなんじゃ。もっともっと、強く想ってくれなきゃ。ああ、そっか、君は自分を傷つけられて相手を怨むような人じゃなかったね」
「?」
肩の手を外され、アゴを掴まれて上を向かされる。
動揺しつつも、綱吉は相手を睨み続けた。
「それなら君の大切な人を壊していこうか」
「なっ!? ふざけるな!」
「ふざけてなんかないよ。綱吉クンは全てを失ったとき初めて僕を心から憎んでくれそうじゃない?」
よくわからない焦燥感に綱吉は相手を睨むことで耐える。
なぜ、そうまでして自分に憎まれたいのか、理由がわからなかった。
でも、この男の好きにさせるわけにはいかないと強く思う。
「そうして、やっと僕だけを見てくれる…ふふ、この感情は恋に似ているかもしれないね。君のことばかり想ってるよ。そうだね、世界を手に入れたあと、君のことも手に入れようかな」
「な、に?」
「全部を奪った相手に、自分すら奪われえるなんて最低最悪じゃない? これって殺されるより絶対に屈辱だよ。あ〜、仲間の目の前で犯すとかも面白そうだね」
最低の思い付きを笑顔で披露する男に綱吉は初めて嫌悪の視線を向けた。
「お前の思い通りにはならない」
「痛いだけだと可哀想だから気持ちよくしてあげるよ。だって、その方が屈辱的だもんね。自分達の大切なボスが目の前で汚されるのを守護者たちはどう思うかな? 今から楽しみだね」
「放せ! オレはお前なんて知らない!!」
綱吉は精一杯の力を込めて、アゴを掴む手を払い除ける。
男は目を細めてから、綱吉の胸倉を掴んだ。
そして、綱吉が抵抗するよりも早くその口を塞ぐ。
「んぅ!? っ…!!」
思考がついて来ない、何が起きたかわからなかった。
しかし、口内にまで侵入してきたモノで綱吉は我に返り、それに思い切り噛み付く。
「っ! 痛いなぁもう。君って結構大胆だね」
「は、ぁ…最悪だ」
男から距離を取り、綱吉は感触を消すために思いきり口を拭った。
「あはは、この世界では仲良くしようね、綱吉クン。せいぜい仲間が殺されないように気をつけるんだよ?」
もう口も聞きたくない。それなのに物騒なことを言う。
無視できない、そう思わせるだけの存在感を目の前の男は綱吉に植え付けた。
それは枯れない花のように咲き続ける気がして、唇を強く噛む。
「白蘭」
「え?」
「僕の名前だから憶えておいてね。それじゃ、また」
そう言って白蘭は笑顔で立ち去っていった。
そのときは心から笑っていたように見えて混乱する。
白蘭が何がしたいのかわからない。
綱吉は近くの塀にもたれ、地面へとへたり込んだ。
会ったことも見たこともないはずだ。
あの容姿は一度見ると忘れないと思う。
でも、本当に見たことがない。
それなのに白蘭は自分のことを大嫌いだと言った。
わけがわからない。
ただ、白蘭はマフィアに関係していると思った。
ボンゴレの内情に詳しそうに話していたから。
自分の聞かされていない敵対勢力だろうか。
だとしても、あんなことをする理由になるのだろうか。
思い出して、綱吉は一人赤面する。
もう一度口を拭ってから、小さくため息を吐いた。
「……何なんだよ、あいつ」
まるで世界中で独りみたいな目をしていた。
そのことに捕らわれると自分はきっと動けなくなる。
だから、考えないようにしないといけない。
もし、また出会うことがあったなら出会い頭に殴ってやらないと気がすまない。
それだけのことをされたし、言われたはずだ。
綱吉は決意も新たに立ち上がった。
みんなにも注意を促さないといけない。
獄寺に全てありのままに説明すると地の果てまで捜して滅してきます、なんて言い出しそうなので気をつけて説明しないと。
そもそも、ありのままを話すには抵抗がある出来事だ。
でも、勘のいいリボーンには全部話さなければいけない気がして今から気分がずっしりと重くなった。
*END*
今しか、今しか書けない気がした!笑
どこか別の世界でツナと仲良くなってみようとして、やっぱり止める白蘭でした。
ということで少し未来のお話です。高2くらい?もっとあとかもなぁ。
だから、ツナもちょっと強気です。このくらいは成長してるかしらと。
ツナが自転車パンク修理で正一と会ってなくて、
白蘭が日本に来るという条件を満たしている世界です。
ああ、+ボンゴレを憎む出来事を体験済みですね。
問題はいつから憎んでるんか、ということなんだよな〜10年後ってこともあり得そうだな。
だとしたら、そんな世界はなさそうだけど、細かいことは気にしたらいけないよね(笑)
白蘭はボンゴレに対してはどこか辛辣なんで、憎んでないかと期待して。
相手に強い感情が向いていると萌えるんだ、私。それが恋とは違っても。
原作で実はツナのこと大好きだったら、もう消すすぐ消す(笑)
ま、完全妄想話ってことでいいか〜。
いや、普通に仲良し白ツナも好きですよ!!ツナが受けならなんでも好き(笑)
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