ルフィが忘れていた課題を終わらせた頃には教室に誰もいなくなっていた。
一人でしなければ受け取らないと教師に言われたのでサンジやウソップ達に手伝いは頼めなかったのだ。
課題をさっさと職員室に届けて、3組に戻り、荷物を持った。
そして、終わるまで待つと言って待っているサンジを1組の教室へ迎えに行く。
分厚い本を真剣に読むサンジにルフィは首を傾げた。

「何? お前、弁護士になりたいのか?」

本の題名は『六法全書』。ルフィなら理由がなければ絶対に読まない代物だ。
理由があっても出来れば避けて通りたい。

「ううん。ルフィについて調べてた」

重そうな本を閉じて、サンジは真剣な顔でルフィを見てきた。

「おれ〜? 全然関係ないと思うけど」
「これだけ可愛いと何か罪に問われたりするんじゃないかと思って心配になった」
「ねーよ! バーカ! つか、可愛い言われても嬉しくねェ! 真剣な顔で何言ってんだ!」

まさに斜め上の発言に危うく六法全書でサンジを殴るところだった。
これは立派な凶器になり得るだろう。

「可愛いは正義です。おれが総理になったらルフィを保護対象に指定します」
「発想が怖い! お前が総理になったらこの国は終わりだ!」
「あ、そっか。ルフィくらい可愛くて貴重な存在は守らなきゃいけないからレッドデータブックに載ってるかも」
「……おれは野生生物じゃないから載ってないよ」

ツッコミ疲れしたルフィは絶滅危惧種を掲載してある本を入手するために立ち上がるサンジを力無く止める。

「そっか! じゃあおれが守らなきゃだな! 一生、守るよ!」
「レッドデータブックに載る予定は一生ないので、ご心配には及びません」

邪気のない顔で、にこやかに笑われたのでルフィも微笑みながら丁重に断った。
プロポーズにも聞こえるようなセリフに周りに誰もいなくて心底安心する。
人目を気にしないことにかけても天才的なサンジのことだ。誰かいても迷いなく絶対に言う。駅で大量の人前で告白という前科もある。
いかにして、こういう話題に持っていかないかも重要だ。
しかし、突発的で止める術なし。
このままのサンジと一緒にいるとツッコミスキルが無駄に上がる気がする。
サンジの阿呆な発言は笑って流した方がいいのだろうか。

秀才なのに行動が阿呆過ぎるのは罪に問われないか六法全書で調べようか悩むルフィだった。


























*END*