昼食後、諸事情によりルフィのいない間、ウソップは気になっていたことを聞いてみた。

「そういえばサンジっていつからルフィが好きなんだ?」
「高1の4月17日から」
「ぐ、具体的だな。いつから好きになったのかわからないってパターンかと思ってた」

あまりの即答にウソップは本気で驚く。
サンジは気にした様子もなく話を続けた。

「その日の放課後に好きになった。おれにとって、特別な日だ」
「ルフィが帰って来るかもだから、今度詳しくは聞くかな」
「ああ、気が向いたら話す。むしろ、ルフィの目の前で語りたい。あの頃から少しでも一緒にいたいからルフィと同じ電車通学に変えた」

そういえばサンジは結構な金持ちだったことをウソップは思い出す。

「あ〜、初期の頃は運転手つきの自家用車で通学してて話題になってたな」
「電車通学は親にかなり反対されたけど押し切った。そのあとからモテる男をアピールしてた」
「もしかして…告白してきたコと誰とでも付き合ったやつのことか?」

サンジはウソップの言葉に頷いた。
誰とでも、とはいえサンジに告白するのは可愛いコが多い。妬みの原因にもなっていた。

「そうそう、心の広さを見せたつもりだったんだけど」
「……その作戦、失敗だっただろ?」

作戦を実行する前に気づきそうだが、サンジも色々と考えての行動だったのかと内心で感心した。

「…ああ。女好きと思われたし、誰かと付き合うとルフィと居られる時間が減った。大失敗だった。男を好きになったの初めてだったし。というか、誰かを恋愛対象で好きになったのはルフィが初めてだ。今もかなり手探りだ」
「手探りっつーか、なりふり構わなくなってきたように見えるけどな。今も昔も噂の絶えない男だよ、サンジは」

ウソップは渋い表情で失敗談を語るサンジを見て苦笑する。

「昔、変な噂が流れてたときもルフィはおれへの態度、変わらなかったな」

嬉しそうにサンジは笑った。
中には女を取っ替え引っ替えで飽きたら捨てる、もしくは本気ではなく遊んでいるという噂もあった。
それによってサンジから距離を保つ連中もいたのだ。

「ルフィは噂だけで誰かを判断する奴じゃないからな」
「本気で好きだ。土日祝日は嫌い。学校がないとルフィと手軽に会えない…早く戻って来ないかなァ」

屋上の扉を見つめるサンジにウソップは何とも言えない気分になる。
なんて純粋で一途な想いだろうか。
このままではサンジの応援をしたくなってしまう。あくまでも中立、何ならルフィの味方でいたいのに。

「…捜しに行けば?」
「あー、やめとく。誰もいない教室とかまで追い詰めちゃいそうだから今は我慢する」
「うん、おれじゃ手に負えないボケだな。早く戻って来い、ルフィ」

爽やかな笑顔で怖いことを言うサンジを見て、早くルフィが戻ってくることを心底願うウソップだった。




























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