「…おはよう」

次の授業の準備をしていると背後からテンションの低い声が聞こえてきた。
ウソップは不思議に思いつつ、振り返る。

「お〜、1限目終わってるけどな。うわっ、どうしたんだよ〜びしょ濡れじゃん」
「傘忘れて、雨宿りしてたけど雨止まないから走って来た。今頃、小雨になるなんて卑怯すぎるー午前は曇りの予報だったのに」
「とりあえず着替えろって〜寒くはないけどそのままじゃ風邪引くぞ?」
「うん、体操服でも着る。あ、今日体育ないから…ないや」

そういえば洗濯するために持って帰ったのだった。
ルフィはカバンを持ったまま立ち尽くす。
肌に張りつく制服が気持ち悪くルフィは顔をしかめた。

「ルフィ!」
「ん? サンジ…何だよ?」

大声で名前を呼ばれ、振り返ると声の主は制服の上着を羽織らせてきた。
自分のものより大きいブレザーに違和感を覚えつつ、サンジを見上げる。
ひどく慌てている様子のサンジを不思議に思い、首をかしげた。

「どうした?」
「水に濡れて肌に張りつくシャツだなんてエロすぎる! そんな格好で校内を歩いて来たのか!? 襲われたらどうす」

ガコンという異質な音とともにサンジは床に倒れた。
真っ赤になってサンジの頭上に持っていたカバンを思いきり叩きつけたルフィを注意できる人物はその場に誰もいない。

「保健室でシャツ借りて来るから!」
「あ、ああ」

サンジを無視してルフィは教室を出て行った。サンジの上着を着たまま出て行ったので怒ってはいないのだろう。
ウソップはしゃがみ込み、倒れているサンジに声をかける。

「生きてるか?」
「…ああ。ウソップ、午後の天気は?」
「予報だと雨だったけど」
「そっか」

立ち上がり嬉しそうなサンジにウソップも立ち上がりつつ疑問の眼差しを向けた。

「おれは傘持ってきた」
「?」
「だって、相合い傘して帰れるかもしれないだろ?」
「…そうだな」

どこまでも前向きなサンジにウソップは生暖かい笑みを浮かべるのだった。





























*END*